家に戻る車の中、
お母さんはずっと私の手を握ってくれていた。

「…私、疲れたから部屋で休むね」

家に着き、私を支えてくれていたお母さんの腕を振り払って階段をかけ上がる。

部屋に入りドアを閉めると、
途端に糸が切れたように床へ座り込む。


……覚悟、してたはずだった。
だけど、実際に中山さんから宣告されると、
目の前が真っ暗になった。

あれだけ泣いたのに、
また涙が溢れては流れていく。

頭の中にはテレビで見た、
私と同じ病気の女の人が浮かんでくる。

ベッドに寝たきりで、
言葉も話せなくて、平仮名が書かれてるボードに指差しで気持ちを家族に伝えてた。

…私も、いつかは……。



私の将来、どうなるの?
大学、いけるの?
就職、できるの?

自分の事も自分で出来なくなって、
私、どうやって生きていくの?

私、どれ位、



生きられるの?


考えても答えの出ない事を、
私はひとり考えては、

ただ泣いていた。

もう声は出なかった。

ただ、涙だけが流れていった。







助けて、お父さん

助けて、お母さん

助けて、お兄ちゃん



助けて、


涼太―。