吐き出す息が白く染まる冬の空の下、
近所のバスケットゴールのある公園に芹那とふたりで訪れる。
バスケットゴールのある公園はこの辺りにはこの公園だけなのもあって、昔からよく来ている場所だ。


さすがにこの年末に公園に来る人はいなくて
俺と芹那の貸し切り状態の中、
芹那からパスを受けた俺はそのままゴールにシュートを放つ。

スパッとボールはゴールのネットを通り抜けていく。

「ナイッシュー!」

転がったボールを拾う俺にそう言って笑う芹那。

「ボールがネットを通り抜ける音、好きだなぁ」

「お前昔からそれ言ってるよな。
まぁわかるけど」

「だよね!何か気持ちいいよね」

俺からボールを受けると、今度は自分でドリブルしてシュートを放つも、
ボールはゴールに入らずそのまま地面へと落ちていき転がっていく。

「何で涼太はあんなにポンポン入るのよー」

転がったボールを拾いながらそう言って俺を見る芹那は、
笑っている。

「やっぱり年期の違いなのかなぁ」

そう言いながら今度はゴールの近くでシュートするも、
ボールはまたそのまま地面へと落ちた。

「もー!」

少し怒ったようにボールに向かって走る芹那に安心する。

…やっぱり昨日は疲れてただけだよな。
昔っから棗兄は芹那の事となるとめちゃくちゃ過保護だし。

今、こんなに元気に走って笑っているんだから、
何も心配する事はないよな?

だって芹那は、


あの日確かに運命が変わって
今こうして俺の前で笑っているんだから。











どうして俺は気づかなかったのか。

運命が変わって、

ずっと芹那が俺の隣で生きている、
なんて、

そんな保証はどこにもない事に。


なぁ芹那、

芹那はこの時、ひとりで悩んでたんだろ?

自分の身体に起こる様々な症状に
不安で不安でたまらなかったんだろう?


気づいてやれなくて、


ごめんな―。