「なるほど、ね…」

翔太の診察室で、俺は芹那の気になる症状を出来るだけ詳しく話す。

「お前が戻ってきてからの短い間にこれだけね…」

「もしかしたら以前から何かあったのかも知れないけど、実際見てないから本当にごく最近の事なのか、以前からなのかは分からない」

「まぁお前は遠いし、教授やオバさんだってずっと見てる訳じゃないしな。
あ、彼氏君は?
お前の家の隣に住むあの子だろ?えっと…」

「涼太か?」

「そう、涼太君。
彼なら分かるんじゃない?
彼氏だし、学校も一緒だろ?」

「そんな事、24日に会った時は何にも言ってなかったな」

「そっか。
オバさんが言うには最近よく転ぶみたいって事らしいし、
まぁ検査してみなきゃな」

「頼む」


コンコン
「先生、久保田さん採血終わりました」

翔太に一通り話した後、看護師が診察室に入ってきてそう声をかける。

「じゃあこっちに呼んでくれる」

「はい」

看護師が出ていくと、翔太は真剣な顔で言った、

「これから芹那ちゃんに何があろうと、
芹那ちゃんの前では毅然としてろよ。
芹那ちゃんの憧れの尊敬するお兄ちゃん、でな」

「!!
…あぁ、分かってる」

俺の言葉に、翔太は眉を下げて笑って俺の肩を叩いた。