「仕方ねーから一緒に遊んでやるよ!」
そう言った俺を、芹那は驚いた顔で見た。
ちなみに母親には拳骨くらった。
「本当に、
本当に遊んでくれるの…?」
驚いた顔は一瞬で不安そうな表情に変わり、そう芹那は言って俯いた。

「だから!そう言ってんだろ!」
やけになりながらもそう言った俺に、
芹那はパッと顔を上げると

嬉しそうに笑った。
目には少しの涙を浮かべて。




芹那と遊ぶのは楽しかった。
あれだけ嫌々だったのに、
気づけば俺は芹那と遊ぶのに夢中になっていた。

芹那は本を読むのが好きだった。
だからだろう、俺の知らない事も芹那はたくさん知っていた。
勉強も本を読む事も嫌いな俺に、
芹那の話は凄く新鮮で楽しかった。
覚えが悪い俺に、芹那は嫌な顔ひとつせず、いつも笑顔で丁寧に教えてくれた。


夜はベランダや庭で星を数えたりした。
芹那に星座を教えてもらいながら、流れ星が流れるとふたりで願い事を叫んで笑った。

学校でまわりの奴らに冷やかされても平気だった。
だって、楽しかったから。
芹那と過ごす時間が楽しくて仕方なかったから。



そんな俺と芹那の仲は、
中学生、高校生になっても変わらなかった。
同じ中学、高校に進み、
いつも一緒に過ごしていた。

仲のいい、幼馴染。


だけど、いつからか俺は芹那に特別な感情を持つようになった。
ただの幼馴染じゃない、

ひとりの女の子として、

芹那の事が、好きになっていた。