チャイムが鳴り響く。
途端に騒がしくなる教室。

…不思議な1日だった。
俺の覚えている9月20日をそのまま辿るような1日。
芹那や優斗の行動、台詞、
授業の内容、弁当の中身、
クラスメートが誤って割った花瓶、
全てあの日の通りに進んでいった。


そして、もうすぐ…


「涼太ー、帰ろー!」

鞄を持ってそう声をかけてくる芹那。

「おー、帰るか」


そう言って俺は鞄を持ち、芹那と一緒に教室を出る。

「じゃあなー、涼太、久保田!」

そんな俺達の前をそう言いながら走り去る優斗。

「じゃあな、優斗」

「また明日ねー」



…心臓が少し早く脈を打つのが分かる。



運命は少しずつ変わっている。

昼休み、優斗に放課後バスケ部に助っ人に来てほしいと頼まれた。

あの日、俺は即答で了承した。

そして今日、

俺は優斗の誘いを断った。

この瞬間、運命は少しずつ変わっていったんだ。





「ねぇ涼太、ちょっと寄りたい所あるんだけど
つきあってくれない?」

寄りたい所…。

あの日、芹那は家とは逆方向の場所で事故にあった。
どこにいくつもりだったのか誰にも言ってなかったため、
何故家とは逆方向に進んでいったのか誰にも分からなかった。

何の目的で、どこへいくつもりだったのか、
それをはっきりと知っておきたい。
じゃなきゃ、運命を変えても前に進めない気がする。


「あぁ、いいぜ」






何故あの日、
芹那はあんな場所で事故にあったのか、

真実が分かるまで、後少し―。