どんなにこの現実世界が嫌でも、生きている俺は毎日決まった生活を過ごさなければいけない。
そのため学生の俺は学校へ向かうため家を出る。
途端に冷たい風が頬を撫でていった。
見上げた空は雲ひとつなくて、冬独特の澄んだ空気が身体を包む。

(私、冬の空と空気好きなんだよね)

寒くなるといつもそう言って笑っていたのは、
俺の幼馴染の久保田芹那、だった。

芹那、
俺の幼馴染で、たったひとりの大好きな人。
初めて会ったのは、まだお互い8才の時だった。
俺の家の隣に芹那の家族が引っ越してきたのがきっかけ。

最初はただ隣に引っ越してきただけのやつ、
位にしか思ってなかった。
小学生のガキだったあの頃は、女と遊ぶなんて嫌だったし、恥ずかしかった。
だから最初は芹那の事は避けていた。
だけど、いきなり母親から芹那と遊べと言われた。
転校生だった芹那は中々クラスに馴染めなくて、友達も出来ずにいたらしい。
そんな芹那を心配した芹那の母親が俺の母親に相談し、
俺に芹那を任せようとなったと、後から聞いた。

冗談じゃない、
そう思った。
ってか、そう母親に言った。

だけどまだ小学生のガキだった俺、
母親の
おやつと小遣い抜き!
という脅しに負け、渋々芹那と遊ぶ事になった。