いつもと変わらない朝。

部屋に鳴り響くスマホのアラーム。

そして、頬に流れる涙。


…いつの間にか眠っていたのか。

ベッドから身体を起こす。

窓からは眩しい程の朝日が部屋を明るく照らす。

…何故か暑く感じるのは天気がいいからだろうか?

それとも芹那のいない世界で、俺は身体までおかしくなったのだろうか。
小さくため息をつき、部屋のドアを開けようとドアノブに手を掛けようとした瞬間、
ドアノブが勝手に下りてドアが開く。

反射的に身体を反らし、ドアの前にいる奴を見る。


…………!!!?


声が出ない。
身体が震える。

…俺はまだ夢でもみているのだろうか?

それとも、あまりに芹那を思い、求めているあまり、
幻覚でもみているのだろうか?


何も言えず、ただ突っ立っている俺に、

目の前にいるその子は、言った。


「おはよ、涼太!」


と―。




俺が1番会いたかった笑顔で、


俺が1番聞きたかった声で、




俺の名前を呼んでくれたんだ―。