ピピピピピ…

覚醒前の頭に鳴り響くスマホのアラーム。
まだだ、まだ目覚めたくない。
まだ、芹那を感じていたい。
だって夢の中じゃないと、
もう芹那と話せない、
芹那に触れられない、
芹那と、過ごせないのだから。

なのに、無情にもアラームは大きな音を響かせる。

(またね、涼太)

そう、芹那が言ったと同時に俺は現実世界へと引き戻される。

(またね、涼太)
…あの日、最期に聞いた芹那の言葉で。



身体を起こす。
頬には流れる涙。

俺はその涙を拭う事もせず、
ただ芹那を思う。




今日もまた、芹那がいないこの世界で生きていかなければいけない―。