これは名もなき時代の、名もなき国の、名もなき村に住む少年とロボットの物語ーーー。

『ミカエラ、起動します。状態は正常です』

ピー……。

実験器具のようなものや、様々な機械が置かれた地下室。始まりの電子音が響くーーー。

「初めまして、ミカエラ。ワシはポール。発明家で君を作った者じゃ」

白く長い髭のおじいさんがゴーグルを上げ、ミカエラに微笑む。

「作った……?発明……?」

首を傾げるミカエラに、ポールは手鏡を取り出し、ミカエラに見せた。

長い青色のツインテールの髪、整った眉、髪と同じコバルトブルーの目。頰は少し赤い。

ミカエラはそっと手で顔に触れる。柔らかい。

「……私……?」

「ああ…。まだ起動したばかりで、少し混乱しているんじゃな。君は人間と同じような姿、感触だが、ロボットなんじゃ」

ミカエラは瞬きを繰り返す。そんなミカエラを見て、ポールはミカエラのおでこに手を当てた。

「もう少し眠っていなさい。起きたら、ある人に会わせてあげよう」

そうポールが言った刹那、ミカエラの目の前が真っ暗になった。