「なー、なんで陸4回も綾瀬さんの告白断ったワケ?」

「それ私も思った。なんでなの?」

好きだったんでしょ?
そう言って竹内くんを問い詰める亮太くんとヒカルに便乗して、私も彼を見つめる。

まさか自分に話題が来るとは思っていなかったようで、竹内くんの顔に見る見る焦りが滲んでいく。


「…どうでもいいだろそんなこと…」

「「「良くない!!」」」


綺麗に重なった3人の声に気圧されたように後ずさった竹内くんは、
落ち着きなく目を泳がせる。

「…………別に理由なんてねえ」


低い声で言って、何故か私の手を取ってものすごい速さで走り出した。



「ちょ、陸?!」

「なつか!!どこいくのー?!!」


後ろから聞こえていた戸惑った声は、すぐに聞こえなくなった。



人気の無い中庭まで来て、やっと止まってくれた。
振り向いた竹内くんの顔は走ったせいかほんのりと赤い。


息を整えていると、おもむろに竹内くんが口を開いた。


「…ちゃんとしないと、って思って」


「え?」


「綾瀬のことす、好きだって分かったときに
俺何人も彼女いて。

そんな状態で告白とかそういうことできねえと思って。
俺お前の友達が言うようにチャランポランだし最低だけど、
だからちゃんとしないとって思った。」