という、夢を見た。


「…なんかリアルだったな…
内容的にはあり得ない夢だったけど…」

ボサボサの髪のままベッドから降りる。
いつも通りダラダラと準備して、ダラダラと登校する。

下駄箱で靴を脱いでいたその時だった。

「…オイ」


顔を上げると、竹内くんがいた。

やけにリアルだった今日の夢を思い出して、意に反して頰が熱くなった。



……夢?


「あの、竹内くん、確認したいんだけど昨日私と話したりした?」

「は?」

「妙にリアルな夢でね、竹内くんにこう、ぎゅっとされる夢で…」

両腕でぎゅっとされた再現をしながら竹内くんを見上げると、

顔を真っ赤にして唇を噛んでいた。

おお、初めてみた表情。


「…夢じゃねえよ」

「え、

えええええええじゃああんなことされたのもこんなこと言われたのもリアルだったの?!!!どんなご褒美なのこれ?!!」

「まじお願いだからちょっと黙れ…」


頭を抱えた竹内くんはついにしゃがみ込んでしまった。

夢じゃなかった。

妄想でもなかった。


好きって、言ってくれたよね?

竹内くん私のこと好きなんだよね?


「ちょっとさ、とりあえずコレに向かって"なつか、好き"って言ってもらっていいかな?!」

「それボイスレコーダーじゃねえかなにさせるつもりなんだお前!」