「…亮太と付き合ってんの」






うららかな午後。

私は最近の亮太くんの謎の行動によって完全に油断していた。

どうしてもりんごジュースが飲みたくなった私は自販機へと走っていた。

突然目の前が暗くなった。


竹内くんが立ち塞がっていたからだ。


そして私は今、
誰もいないとはいえ廊下のど真ん中で仁王立ちの竹内くんに詰め寄られている。

「…亮太と、付き合ってんのかよ」

低い声と世にも恐ろしい顔で詰め寄る竹内くんは正直鬼のようで。
だけど私は久々の生竹内くんに動揺(興奮)していた。

まぶしすぎて直視できず、不自然に目をそらした。

「おい、聞いてんのかよ」

いい匂いがする。

私の肩をつかむ腕がたくましくて、

指が綺麗で。



「…ヨダレたれてんぞ…」


ドン引きしたように言われて初めて気付く。
思わずヨダレを垂らしていたようだ。


引き気味の竹内くんの隙をついて、脱兎のごとく逃げ出した。

また変なところを見られてしまった。

もうだめだ、

おしまいだ。

何度目か分からない、絶望感が胸に落ちていった。