「ねー!竹内くんついに彼女全員振っちゃったらしいよ!!!」

反射的にその声に顔を上げると、顔を紅潮させたクラスの女の子たちがきゃあきゃあとはしゃいでいる。

「それマジだったんだ?!ついに本命に告ったりすんのかなあー!」

「それより先に告っちゃおっかなあ」


関係ない、関係ない、
そう言い聞かせて耳を塞ぐ。

私にはもう関係ないことなのに。

勝手に働いた想像力のせいで頭に竹内くんと未来の彼女が笑い合っているところが浮かんできて、
視界が滲んだ。




「…なーつかっ」

ヒカルがぐりぐりと私の頭を撫でる。

「…なに」

無愛想な私に眉一つ動かさず、ヒカルは口を開いた。


「竹内が話しあるって」

「…………」


私は聞きたい話も話したいこともない。

そう思って拒否の意を込めて机に突っ伏した。

頭上からヒカルのため息が聞こえる。

「…まーいーや。私は別に竹内となつかがどうにかなるとは思ってないし、別にわざわざ話しに行く必要もないと思うし。
とりあえず伝えたからね」

先帰るね、と踵を返したヒカルを見送って小さくため息をついた。