決闘の日は日曜日、場所は学校校庭。
決闘の噂は瞬く間に学校中に知れ渡り鼻沢さんらも知る事となった。
「カスオ君、止めときなよ。永島君はもう昔と違うんだから!」と小学校から僕等を知る皆が僕を止めた。
しかし僕は忠告されるその度に決まってこう答えた。

「この決闘は皆がこれ以上奴の被害に合わない為、そしてこれ以上永島に暴力振るわせない為、そう! 永島の為でもあるんだ。その役目はアイツを古くから知る僕しかいないんだ。」

実は僕はこのセリフを噛まずにすらすら言えるようお風呂場で何度も練習をやった。
もちろんこのセリフは勝つ事を大前提、いや勝つ事しか考えていないセリフである。

「毎日お風呂場でお兄ちゃんがヘンな呪文を唱えて気味悪い」とオカメから苦情があがり母さんが覗きにきた。
だが僕は冷静に「歴史の年号を覚えている」と目を閉じて呟くと「お風呂場の中でも勉強をする、それでこそお父さんの子だよ」と母さんは大喜びだった。

歴史の年号なんかより「嘘つきは三文の徳」ともっと大事な事を学んだのであった。