実はそんな永島に一度だけ決闘を申し込んだ事があります。
何故そんな無謀な挑戦をしたのかというと日増しに力を増すヤツの横暴な態度に僕なりに危機感を覚えていたのです。

「このままでは僕の輝くジュニアハイスクールライフは過酷なヘビーワークライフと化してしまう、ここらで奴のケツのアナ・・・ じゃなくてハナッ柱をへし折って置かなければのちの災いは火を見るより明らかだ」と判断しました。

しかしまともに正面からブツかって行ったところでサマージャンボに当選する確率(実際よくわからない確率だが)で勝ち目などないのは分かっている。
「孫子の兵法」という中国何千年の歴史か知らないが有名な書物がある。

多分ソフトバンクのオーナーとは関係ない。

その中に「戦いの基本は相手を知り、己を知る」とある。
己が弱いのは大事な部分に毛も生えていない自分が一番よく知っている。
相手の永島はもちろんの事、優しいお祖父ちゃんの事まで良く知っている。

全てを理解した上で僕はドラえもんを読み漁り体格と性格のよく似たジャイアンの弱点を探る事にした。我ながらジャイアンに目をつけた着眼点の良さに
「豊臣秀吉もチビだった、僕はひょっとしたら秀吉の生まれ変わりかな」と思うと夕食時に何度もニヤケてしまい、父さんには
「真面目に食え!」と怒鳴られ母さんにはとうとうおかしくなって来たのか涙を流させてしまった。

しかしドラえもんはそれなりに面白くて没頭できたが、お目当てのジャイアンの弱点などどこにもなく、ドラえもんがいなければ悲惨な目に合わされるのび太君を嫌というほど思い知らされ、結局ドラえもんというマンガからジャイアンについて学んだ事は恐ろしくケンカが強く、
そして唄が下手という事だけだった。