皆が笑ってる。そしてお日様も笑っていた。
うつ伏せに寝かされた僕は大股を開き、校門に肛門をさらけ出しながらノビていたのだ。
オマケに可愛い僕の息子には丁寧にピンクのリボンまで付けてある。

敵ながら見事なまでのサプライズだ。

「カスオくぅ~んは愉快だっなぁ~♪」とどこからか合唱する声も聞こえている。
女の子達は「いやだ~」などと言いながらもその視線の先はリボン一点に注がれていた。永島の全く危なげのない完璧なまでの勝利に酔いしれその後のアトラクションも存分に楽しんだ観衆もやがて少しずつ消えてゆき、正気に戻った僕は下半身生まれたままの姿でパンツとズボンを探した。

「クソーッ 永島の奴、どうせ脱がすんなら上着も全部脱がせばいいのに」僕はこの時心からそう思った。

いっそ裸の方が返っていい。
中途半端に上着なんか着て下半身露出していると開き直る事も出来ず、理性と羞恥心が交差し恥ずかしさ倍増なのである。
校庭をコソコソと人目を気にしながらさまよう僕に、リボンの騎士ならぬ可愛い息子もブラブラと優しく付き合ってくれた。
お目当ての僕の貴重品は運動場脇の銅像、二宮金次郎さんが一時保管を余儀なくされていた。
白いブリーフを頭に被らされ、手に持った教科書らしき書物にズボンが掛けられてあった。
内股で小走りに二宮さんに近づきパンツを剥ぎ取ると銅像のその顔は泣いていた。
さらに

「パンツ被ってまで勉強なんかやってられるか!」

と投げやりな様子だった。涙で湿ったパンツを履きズボンを履くと僕は二宮さんに向かって

「悪いのは全てウソップです、そんなにヘコまずこれからも頑張ってください」
と手を合わせた。