僕は中学2年生、芋野粕男といいます。
みんなからカスオと呼ばれています。

僕には妹と甥っ子、そしてササエという16歳年上の姉がいます。
この姉がなんというか自分勝手で単純で何かにつけて命令し、思い通りにならなければ直ぐに暴力を振るう超自己中な姉なんです。
簡単に説明すると台所の魚を盗んだドラ猫を人目も憚らずどこまでも執念深く追いかけてゆく性格です。ちなみに姉は結婚する前に探偵事務所に勤めていた経歴があり、結婚なんかせずその道を極めていたら持前の執念深さと用意周到さで必ずその才能を開花させていたはずである。

さらに姉さんは人を睨むと睨まれた人を石にしてしまう特技も持っていると母さんから聞きました。

僕はきっとこの姉からいつも殴られていた為、脳ミソに防衛本能といういらぬ負担をかけてしまい勉強が頭に入らなくなってしまったんだと思います。
脳ミソがそんな調子だから体の方もゲンコツという枝打ちならぬ頭打ちのせいで小学校5年から重力に逆らって天に伸びる行為をピタリと止めてしまいました。
そのおかげで幼馴染だった永島君に体格面で大きく引き離され、小学校まではどちらかと言うと僕の方が優位だった友人関係も今では全く逆転してしまい、
「永島の丁稚どん、御用聞き」などが僕の通り名です。

何せ永島君はよせばいいのに中学に入ってから格闘技なんぞを習い始めどんどん成長してゆく恵まれたその身体と比例して腕の方も上達していき、あのカメハメ波も放てる域に達したという噂です。

おそらく僕らの校区に永島君を倒せる奴などいないでしょう。