ーーーユラ、今日はどっかよってく？

学校が終われば、いつものように声をかけてくれる友人達から寄り道のお誘いを受ける。


だが、今日はどうしても早く帰らねばいけない用事があり、ユラは申し訳ないと謝罪した。

「ごめーーん、今日はちょい無理だわー。」

いつも割と付き合いのいい方であるユラが断ることが珍しく感じたのだろう。

友人の1人から、どしたー？と声をかけられた。

「今日、久しぶりにパパが帰って来るんだー。だからお迎えー。」

そういうと、ファザコンwと冷やかす友人もいるが、おつーと声をかけてくれるものも多かった。

ユラの父親が海外赴任中と知ってる友人達からすれば、ユラが寄り道を断るのもしょうがない、と思ったようだった。

ユラの父親は海外赴任2年目。
まだ残り1年ある中、ようやく長期休暇で帰ってこれるということで、ユラの家族は今日のために色々な準備をしてきた。

初日の今日は久しぶりの我が家を存分味わってもらうということで、母と弟も支度のため早めに帰ってくる予定だ。

「じゃあ、またね！」

ユラは元気よく手を振って友人達とわかれた。


今日は晴天。

きっとパパもウキウキに違いない。


ユラは少し浮かれながら学校を去った。