マネージャーの仕事は思った以上に大変で、1日中動いてばかりだった。
私はなれない仕事に戸惑いながらも、少しずつ力になれている気がして嬉しかった。

選手たちの休憩の時間になり、私は急いでスポーツドリンクを手渡しで渡していく。

「マネージャー。こっちにもちょーだい。」

声のするほうを見れば、そこには長谷川亮くんがいた。
彼は首筋にも汗をかいており、その汗でさえ美しさを引き出しているように見えた。

まだ5月の半ばとはいえ、この体育館には熱気が驚くほど篭っている。
半袖半ズボンの私ですら蒸し暑いのだから、選手達はもっと暑いはずだ。

私は急いで彼の元にスポーツドリンクを持っていくと、手渡した。

「ありがと。」

そう言って、長谷川くんはゴクゴクとスポーツドリンクを飲み始めた。たまに口元からこぼれ落ちる水滴に、私は思わず目がいった。
惹かれた。そう表せばいいのだろうか。
思わず彼を見ずにはいられないような、この感覚。


私はしばらくの間見とれていたことに気づいた。他にもまだ仕事は沢山残っている。
急いでほかの選手達にもスポーツドリンクを配るのを再開した。