美しい空気を纏っていたからなのか、その場の雰囲気に感化されたのか、僕と星を見る約束をして、あんなにもはしゃいでいたからだろう、どれもあっているようで何か違う。
沈む身体を起こして、目を擦りながらゆっくりとカーテンを開く。
空を見上げると、真っ青な空にポツンと太陽が一つあった。それは、もう既に南を少し過ぎていた。
時計を見ると短針が丁度一の数字を示したばかりだった。

両親は平日と変わらず、朝から晩まで働いている。だからこの家に今居るのは、僕と飼い猫のマルだけだ。
「腹減った。」
階段をミシリミシリと音を立てながら降りて行く。
「にゃあお。」
愛らしい声でのびのびとマルが鳴く。
「どうした?」
「にゃあお」
マルは返事をするように鳴いた。すると今度は、僕を導くようにして台所の方へ歩いていく。途中で何度かこちらを振り返ったのは、多分僕がついてきていることを確認しているからだ。
小麦色の短い毛の生えた、丸々とした肉付きのいい身体をしなやかに動かしたながら歩くマル。そのなんとも言えない特徴的な歩き方は、いつ見ても滑稽だ。