見えない世界でみつけたもの

「一緒に、いれ……るだけ……で」

 泣き続ける静を優しく抱き締める。

 俺はやっぱり静から離れなれない。この一年……一緒にいて分かった事。

 静がとても大切なかけがえの無い人だという事。だから俺は言う――。

「俺といれば……苦労するぞ」
「それでも……構わない。私は……雄太と」

 泣きながら答える静の声。俺はこんなに静に愛されているのか……。嬉しい、離したくない……静を――。

「だったら……一つだけ約束してくれないか?」
「……雄太」
「一人で何もかも背負わないでくれ……もう何も」

 これだけは伝えたかった。あの日から感じていた、静の俺に対しての負い目を、罪悪感を……。

 そのすべてを取り除く事は出来ないだろう。俺と一緒にいれば、嫌でも思い出すだろうから。それでも伝えなければいけない。静を苦しめている鎖を断ち切るために……。

「だから苦しい時や辛い時は言って欲しい。俺では力になれないかも知れないが……それでも俺は」
「雄太……」

 俺の声は途切れた。

 何かが俺の口を塞いでいる。温かく柔らかいものが俺の唇に触れている。

「うん……わかった。雄太……今までごめんね」
「……静」

 もう一度、塞がれる唇。今度はさっきよりも長く優しく触れていく。しょっぱい味がするのは静の涙だろうか。

 静の「ごめんね」の意味はどんな意味が込められているのか――。

 あの日の事故に対してだろうか、無理してきた事に対してだろうか、それとも今日の事だろうか。でも、そんな事はもうよかった。静はやっと抜け出せたんだと思う。だから俺は、静の身体を抱き締める。優しく包むように抱き締める。


「静……大好きだよ」
「雄太……大好き、よ」


 三度、塞がれる唇。

 優しさと愛おしさが込められたものが、塞がれた唇から伝わってくる。

 それは静の、俺の、二人の思い――。


 俺はこれから見つけるだろう。静と二人で……。

 手に入れたこの気持ちを胸に、俺達は一緒に見つけていく。

 俺達の進む未来を……。


 ――愛しているよ……静。


 見えない世界で見つけた――それはかけがえのないもの。