苦しそうに息をする彼の汗を拭う。




「ごめんね」




こうなってしまったのは、紛れもなく私のせい。





綺麗に目を伏せる君のまつげをなぞれば





翔「んん、」





迷惑そうに唸る。





頬を撫でれば、しっとり汗ばんでいて




その時






彼の頬に水滴が落ちた。




「あっ、あれ...」




容赦なく落ちるその雫は



止まることをしらない。





一瞬、考えてしまったんだ。






君に触れられるのは、あとどれくらいだろう。




決めたのは自分なのに




揺らぐ気持ちが波音を立てて



溢れ出した。





だって、君があんな事言うから





もう少し、もう少しって





迫る時間が、私の心の容量を埋めていくの。






――――――「支えられてたんだ、華に。

ねえ、だからお願い。


俺から、離れていこうとしないで」――――――






ねえ、翔太くん。




気付いてたの?




そうだとしたら、私、酷いことしたね。




そんな私だけど




もう少し、もう少し





「そばに居ても、いい?」






返事をするはずのない君に問うのは




本当は、答えを知っているから。