.
熱帯夜の9月上旬
夜なのに、昼間とそう変わらない暑さ
何もしなくても背中を伝う汗は止まらない。
ベランダの手すりに体重をかけて
ソーダ味のアイスにかぶりつく。
中に入っているラムネが口の中でシュワシュワ溶けて
「わ、流れ星っ」
藍色の空に流れた一筋の光
こんなのに3回も願いコトなんて無理に決まってる。
――――ピンポーン
ちょうど最後の一口を口に入れた時
玄関のチャイムが鳴った。
こんな時間になんだろう
「はーい、どちらさま...っきゃ、」
扉を開けた瞬間
引き寄せられた身体
そして、香るのは懐かしいあの香り
太陽の優しい匂い
そんな匂いがするのはあの人しかいなくて
翔 「華、会いたかった...」
前より、少し痩せて、逞しくなった身体。
「...翔太くん」
多分
私は、もっと会いたかった。
.