「合宿、きつい?」





――――――翔「うん、結構。てか、かなり。

けどさ、嬉しいよ

夢に近づいてるって気がする、すごく。

あー、でも辛い時は華のこと思い出しちゃうんだなー」






ああ、ダメだよ。




それ言っちゃ





私の気持ち、こらえ切れなくなる。




翔太くん笑顔、直接見たいよ。




こんな、硬い画面越しなんかじゃなくて







「翔太く...」








『翔太ー、そろそろダンス練習ー』






電話の奥で、彼を呼ぶ声。





その声でハッとして




自分の口を噤んだ。







――――――翔「おう、今行く。

...華?どうした?」






「...ううん、何でもない。

もう3分だから、切るね」






――――――翔「華?」






だめだよ、そんな優しく呼ばないで






「じゃあ、合宿頑張って!

...おやすみなさい」








――――――翔「まって、華」






自分の気持ちを押し殺すように




通話の終了ボタンを押した。







言えないよ







確実に夢に近づいてる




夢のために、がむしゃらに頑張っている








そんな君に







「...会いたい」







なんて






言えなかった。