3万人の中の10人





そんな狭き門をくぐり抜けて




〝情熱のシルバー・ウルフ〟




なんて、称されてTVに写っている彼。






「翔太くん」





―――――翔「ん?」





「今ね、録画してたオーディション番組見てるんだ」





――――――翔 「ハハッ、そっか」





「うん、なんか実感沸かない。

だって、いまTVに写ってる人と電話してるんだよ?」





――――――翔「そう?」





絶賛、合宿中の翔太くん。




ファイナリストに残った彼




それは紛れもなく、彼の努力の結晶で




忙しいはずなのに、大変なはずなのに




毎日、3分だけ




時間を作りこうして話してくれる。





3分あれば、やりたいこと沢山あるだろうに








「情熱のシルバー・ウルフ、かぁ。」






――――――翔「あー、それやめて!

なんか、恥ずかしい。」





その割には、ハハッて笑ってる顔が目に浮かぶ。





ああ、どうしよう。




会いたいかも。