翔「はあーっ、ほんっと今日は天気いいなぁ!」






「そう?がっつり曇ってるよ?

ってより、まだ寒いよ?」






翔「うわ、この唐揚げめっちゃ旨い!

どうやって作ってんの?!」






「下味つけて、揚げるだけだよ?

って、前ウチで作ってくれたじゃん」






翔 「あっ、華!今日はバレンタインだね」






「うん?...チョコならさっきあげたでしょ?」







翔「あれ?華、髪き...」





「ってない」






翔 「...いや、今日は」





「翔太くん」





さっきから様子おかしい。



こんな時の翔太くんは大体



何かを言い出すのをためらっているから。





「言いたいこと、あるんでしょ?」





私が、聞いてあげなきゃダメなんだ。





翔 「...俺さ」





聞こえるのは、鉄筋をキンキンと叩く音




都会らしい車のクラクション





もう少しでお昼休みが終わるのかな。




現場の隣のベンチに座る私たちなんか気にせずに




せかせかと、大人が音を鳴らして通り過ぎていく。







翔「オーディション、受けようと思う」