「今年も手作りは無さそう...」





バレンタインコーナーを横目に、レジに並ぶ。





百「なんか寂しいわねー?

...そうだ!」





何を思いついたのか




嬉しそうにニコニコ笑う百合さん。





百「今年の華ちゃんの本命は私!」






「え...っ」





や、私。そっちの趣味は...






百「もー、本気で受け止めない!

ただ、華ちゃんの手作りチョコ欲しいなーって?」





「なんですかそれー」





それもそれで危ない雰囲気あるけど





百「ほら、日頃の感謝を込めて!

バレンタインって恋だけに限らないわよー?」






必死に説得する百合さんが可愛くて




思わず笑ってしまう。





「ふふっ、分かりました」





手作りかぁ。何年ぶりかな?




何作ろうかなぁ。今まで何作ってたっけ?




頭の中が一気にチョコレートに染まっていく。




その中で、パンっと弾ける思い出














――――「ハハッ、やっと貰えたー!

華、ありがとう」











思い出したのは




嬉しそうに、あの笑顔で




個装を外す君。





あの頃は私も、手作りしてたんだよなぁって。