…て。え?
「あの、今なんておっしゃいましたか?」
「ん?だからチョコと誕生日プレゼントもう渡したのかなって?いやー、でも誕生日がバレンタインとか彼女が大変だよね」
誕生日…?
「…うそでしょ」
「あら、さすがのん」
「え、あ、のんちゃんまさか知らなかった?ごめん!琉李から聞いてると思ってて…。いや、でもチョコは持ってきてるわけだし!!プレゼントなんてまた後日でも…」
必死でフォローしてくれる玲くんの言葉は、申し訳ないけど今の私には届かない。
どうしよう…。
誕生日なんて知らなくて何も用意してない…。
それでも結城くんの顔を見てしっかり『おめでとう』って伝えたい。
_______ガタッ…
「あ、ちょっとのん?」
突然立ち上がる私に奈々ちゃんが声をかけるが、そんなのお構いなしにある人の席に向かう。

