でも…
でも、結城くんが上手なチョコをいっぱいもらってると思うと、どうしても自分のと比べてしまって勇気が出せないと言いますか…。
みんな、結城くんに可愛い本命チョコあげてるに違いない。
その証拠にいつもだったら4人で食べるはずのお弁当も、途中で呼び出されてしまった為、結城くんの姿は教室にはない。
「あぁ、結城くん受け取ってるのかな?嫌だなぁ…」
「あーね。確かに琉李なら貰うかもね。甘いもの好きだし」
「やっぱりそうだよね…。って?!」
不意に頭上から声がして、バッと効果音がなりそうなくらいの速さで顔を上げる。
「クスッ…やっと気づいた。結構前に戻ってきたんだけど」
と、おちゃらけたようにニコッと笑う玲くんの手にはさっき貰ったであろうチョコの箱が握られていた。
「大変だね…モテると…」

