「お前、万引きするの初めてだろ?商品取る時手が震えてたし、周りをやけに気にしてた。」

「ま・・・万引き位何回もした事あるもん!」

「それは嘘だな。俺だって伊達に2年もコンビニバイトしてる訳じゃないんだぜ。慣れてるヤツとそうじゃないヤツの違い位分かるさ。とにかく今日は見逃してやるから早く家に帰れ。その代わり、もう二度と万引きなんてやろうと思うな!」


そう言うと、ケンタは女子高生のバックからコスメ商品を取り店内に戻ろうとした。

女子高生はしばらく黙って下を向いていたが、突然ケンタを追い掛けて呼び止めた。


「ねぇ!ちょっと待ってよ!」

「何だよ?まだ何かあるのか?」

「アンタのバイト終わったらチョットだけ付き合ってよ。取り合えずこれアタシの携帯番号だからさ。仕事終わったら連絡して!」


女子高生は、自分の携帯番号を書いたメモをケンタに手渡すと、そのまま走り去って行った。

メモを渡されたケンタは呆然としながら、そんな女子高生の後ろ姿を見つめていた。


「一体何なんだよ、アイツ。最近の女子高生の考えてる事は全くワケ分からん!」