そんなケンタの様子を見て、店長はたいしたトラブルでは無いと判断した様である。


「お客様。立ち読みはご遠慮下さいね。ケンタ君もあまり大声でお客様を注意するのは控えてね。」


店長はそう言っただけで再び二階に上っていった。

店長がいなくなったのを確認すると、ケンタはフゥ~っと溜め息をつき、キョトンとしたままの女子高生に話し掛けた。


「おいっ、お前ちょっとコッチに来い!」


ケンタは女子高生の腕を掴みながら、引っ張るように店の裏口へと連れて行った。

裏口から店の外に出ると、ケンタはやっと女子高生の腕から手を離す。


「お前、金持って無いのか?」

「え!?別にお金はあるけど・・・。」

「だったら何で万引きなんてしようとしたんだよ?」

「何と無く・・・。」

「何と無くじゃないだろ!さっきの商品返しとくから早く出せよ。」

「ねぇ、何で私を店長さんや警察に突き出さなかったの?」


女子高生には、何故ケンタが店長の前で自分をかばったのかが不思議だった様だ。