仮眠の途中だったのか、階段を降りて来た店長はひどく眠たそうである。


「ケンタ君。何かあったのかい?」


女子高生は、店長の姿を見て急に観念したのかおとなしくなった。

慌ててミサキが店長に近寄り、女子高生が万引きしようとしていた事を伝えようとする。

その時だった。

まるで、ミサキを制するかの様にケンタが店長に話し掛ける。

「あ、店長。すみません、何でもありません。」

「本当かい?そのお客様と何か揉めてる様な声がしたか降りて来たんだけど。」

「あ、いえ、そのですね。このお客様の立ち読みを注意して、ちょっと言い合いになってしまっていただけでして。特に問題ありません。ね!ミサキちゃん!」


ケンタは、まるで同意を求める様にミサキに話を振った。

突然話を振られたミサキはケンタの勢いに押されて、思わずそれにうなずいてしまう。


「立ち読みばっかりしてちゃダメだぞ!ホラ、ここに立ち読みはご遠慮下さいって書いてあるだろ。」


ケンタのお説教じみた話は続いた。

女子高生の方は、さっきまでのやりとりを無視したケンタの発言に何が何だか分からない様でキョトンとしている。