ファミレスからの帰り道。

ケンタの頭の中は、さっきのマユミのキスの事で一杯になってしまっていた。


「アイツ・・・、一体どういうつもりなんだよ。散々人を振り回しといて、最後にいきなりキスして来るなんて。」


ケンタは、ぶつぶつと独り言の様に文句を言いながらも、なかなかマユミの事が頭から離れない。


「こりゃ、絶対にミサキちゃんには言えないな。」


ケンタは、そう自分に言い聞かせる様にしながら帰り道を急いだ。


しかし家に着いても、ケンタの頭からは、まだマユミの事が離れないでいた。

むしろ、少し時間が経って冷静になってみると余計にマユミの事を考えてしまう。


「オレにはミサキちゃんと言う大事な人がいるって言うのに、あんなキス一つが忘れられないなんて。あ~!オレもタダの男って事なのかなぁ。」


ミサキと付き合っているワケでは無いケンタにとって、今回の事に特に罪悪感を感じる必要は無い。

だが、何故かミサキに申し訳無い事をしてしまったかの様に感じてしまうのだった。