「アイツの事だから、どーせ適当なデタラメ番号を教えたんだろうさ。まっ、かけてみるかな。」


ケンタは自分の携帯電話を取り出し、メモにある電話番号をプッシュする。


「ハイ、もしもし。」

「あ!ホントに出た!」

「誰?イタズラ電話?」

「イヤ、イタズラじゃなくて!もしもし。オレだけど。ほらっ、コンビニの店員の。」

「あ~!。本当にかけてくれたんだ!アンタ意外と暇なんだね。」

「はぁ?お前がいきなりこのメモ渡して行っちゃうからだろ!誰だって気になってかけるさ。」

「あっそう。じゃあ取り合えず、駅前のファミレスに来てよ!場所は分かるでしょ?じゃあね~。」

「オイ!ちょっと待てよ!何だよ?ファミレスって?」


ケンタが取り次ぐ間も無く、電話は一方的に切られてしまった。


「何なんだよ。ファミレスに来いって事かよ。全く勝手なヤツだなぁ。」


ケンタは納得行かなかったが、仕方なく駅前のファミレスに向かう事にした。

ファミレスには、コンビニから歩いて五分程、大して距離では無い。

だがケンタに取って、この唐突な展開は意外過ぎた。そのせいで動揺していたからか、ファミレスまでの道のりがとても遠く感じる。