ケンタが店内に戻ると、ミサキが心配そうにケンタに走り寄って来た。


「ケンタ君、結局さっきの娘の事どうしたの?」

「まぁ、商品は回収したし、ガツンと説教してやったから、もう同じ事はしないと思う。しっかし、金持ってる癖に万引きしようだなんて、全く世の中どうなってんだか!」

「でも、さっきのケンタ君ちょっとかっこ良かったかな。だって、あの娘をかばってあげたんでしょ?」

「うん、まぁ本当は見逃しちゃいけないんだろうけどね。こっちもすぐに気付いた事だし、あんまり大事にするのもなぁってさ。」


そんなやりとりの中、ケンタはミサキに女子高生から渡されたさっきのメモの話は出来なかった。


バイトが終わり、帰り支度をしている最中にも、ケンタはメモの事が気になっていた。

ミサキには、とうとう言えず仕舞い。後ろめたい気持ちは無いのだが素直に言う事でも無い、そういう感じだった。


「ケンタ君、お疲れ様!」

「うん、お疲れ。」


ミサキと別れたケンタは、試しにメモに書かれた携帯番号へ電話してみる事にした。