「えー、まじで」

「それは無いね」

「香弥はどう思う?」


トップコートだけ塗ったネイルが天井の照明に反射する。

そんな指先をアイスティーの入ったグラスに付いた水滴に潜らせていれば、不意に鼓膜を叩いた高めの声音に顔を上げる。








「ん?んー……、」


場所は大学構内にあるカフェテリアの一角。

三人の友人に詰め寄られるように近付けられた顔に苦笑を零しながら視線をそっと逸らせば、直ぐに「逃げるな!」と声が追ってくる。







そんな気迫溢れる彼女たちに又もや苦笑を零して応酬する。

意味も無く逃げ出したい衝動を堪えながら長く伸びた髪を耳にかければ、漸く自分の席に腰を下ろしてくれたから安堵の息を吐いた。












「ほんっと意味わかんなくない!?なんで男って皆そうなのよ!」

「いや、私に聞かれても………」

「あああぁあああムッカつくー!!」

「(最早聞いてないし)」