「俺もいること、忘れないでくれよ」


そんな彼の後ろから不意に現れたのは、いつもその背中を守る役目を担う長身の人で。

明るくブリーチの施された髪を夜風に掬われながら姿を見せたソノヒトは、両耳にアンバランスに付けられた大量のピアスを光らせながら口角を上げそう零す。










「"聖龍"の新総長と副のお出ましか」

「族潰しで有名だった奴等だろ?」

「そんな連中に頼らなきゃならないなんて、随分と廃れたモンだな」


―――――好き勝手言いやがって











あの人たちはそんなんじゃない。

ユウキさんとヒロヤさんは、お前等がそんな風に言っていい様な人たちじゃねぇんだよ。









口腔中負傷した状態では碌に反論も出来ず、歯痒い思いを滲ませた俺は渾身の力を込めて腕の拘束に逆らう。

そんな此方の様子を見て漸く現状を再認識したらしい敵の男たちは、再び拳を固めて俺の頭部に殴り付けた。



「―――気にするな、俺等なら言われ慣れてる」