鼓膜を叩いた中性的な声音にハッとして直ぐ顔を顰めた。

――――今、俺が思う"親玉"は







「ケッ、のこのこ来やがった」

「あ?20人連れて来いっつっただろ?他の奴等は何処にいやがる」




俺を拘束していた男たちは興味の対象が逸れたように視線をずらすと、一様に眉根を寄せてそう洩らした。

その視線の先を辿るようにして見れば、確かに確認出来る人影は二つしか無い。











「――――二十人も要らない、俺ら二人で十分だ」

「あァ?ふざけてんのかテメェ」

「悪いな。本気だ」




ちっとも悪びれないでそう言葉を返したアノヒトは、臆すること無く敵陣へと歩を進めてくる。













「遅れて悪かった。今助ける、待ってろ」



その言葉を向けた相手が俺だと分かると、無意識の内に胸中を安堵の思いが駆け巡った。
















黒髪に黒い瞳、決して高くは無い背丈。

一目で整っていることが窺い知得る顔のパーツは声と同じく中性的で、他とは違う魅力を纏うその人。