「信じらんねぇ」

「――ぐッ」

「なんで吐かねぇんだよ」



視界が霞む。

何度も打ち付けられた頭皮からは大量に出血しているらしく、ドクドクと感じる脈拍がやけにリアルだ。












「言うわけ、ねぇ、だろ………」











最早拘束された腕に力を込めることも出来ない。

今し方バットで殴られた頭部だけでは無く、身体の至る所がイッちまってる様な感覚。






「吐けば楽になるんだぜ?」

「―――カハッ…!」

「テメェの親玉についてちょーっと滑らしちまえばいいんだよ」















―――――"親玉"

その言葉を聞いて思い浮かべるのは、少し前までは間違いなく昴さんだった。





伝説の総長。

それは俺だけでは無く他の連中にも言えたことで、あの偉大な背中は絶対の憧れで。















でも今は――――、



「悪い、待たせた」