予測できること。想像自体は容易に、確実にできることだった。



「昭人があの日現場で見たのは、宏也。『お前と同じカオをした男』が智をバイクで轢き、逃走する姿だった」

「………っ、」

「それを聞いたときはさすがに俺も頭を抱えたさ。アリバイがあれば少しは違ったかもしれないが、生憎その頃は智に掛かりきりで俺もお前の行動を把握する余裕がなかった」







親父さんが言葉を重ねていく度に、ヒロヤが息と言葉を詰まらせていることが分かった。

本当は言ってやりたかった。

ヒロヤはそんなことしない。絶対、そんなことしないって。


――――でも、



「俺はお前を信じていたからこそ、昭人にその証言を公表するのを待ってもらっていたんだ」






言葉を向ける親父さん自身が、本当に慈愛に満ちた表情で。

これ以上ないくらい穏やかな表情でヒロヤを見つめていたから、私なんかが口を挿むことなんて到底できっこなくて。








更に親父さんは言葉を重ねた。

その当時では此処に居るニセモノ男の存在を把握できていなくて、完璧にヒロヤが容疑者として警察に連れ込まれてしまうだろうと予測していたこと。

ただ驚いたのが、



「宏也」

「……なんだよ」

「俺、言ったよな」





「お前と昭人の娘さんが二人で会ってるときに付けていた奴らが、複数いるって」





今まで全く知ることのなかったその、台詞の内容だった。