暫く物静かに俺の動向を見つめていた親父は、未だ微動だにせず此方を見据えていた。

駐車場と思しきこの空間はやけに響きやすい。俺が今し方口にした台詞の余韻が、幾重にも折り重なって残っている。



「――――もちろん、知ってるさ。それに」





それは先ほど俺が投げ掛けた質問の答えに値する台詞で。

しかしながら直ぐに後続した言葉がなにを示すのか。それを深く考える前に、予想外の人物が親父の隣に姿を現したことでこれまでの空気がバッサリと遮断された。




「………――は、なんで……」






か細くおとされたユウキの呟きはもっともだと感じた。

超が付くほどに長身の親父よりは些か劣るものの、一般的な見解からすればその人だってきっと長身に部類されるだろう。

女にしてみれば平均よりずっと背丈の高いユウキに、どことなく似ている気がした。













「彼が、あの事故の目撃者なんだ。俺が外部に漏らさないように頼みこんでいた――――結城昭人《あきと》さんだ」












何食わぬ面持ちで並ぶ男が二人いて。

その二人はメディアでも有名なほどに日頃から火花を散らす間柄の筈で。

おかしいだろ。このツーショットは、どう考えても可笑しい。




息を詰め目を見開く俺の後ろで、尚も腰を下ろすユウキが全く同じ表情をしてこの光景を見つめていた―――。