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「………いッ、」


段々と頭が冴えていくと同時に、身体中を走り抜ける激痛に思わず目をそばめた。

クリアになっていく視界。それと同時に、先ほどまで浸りきっていた光景がやっぱり夢だったんだと実感する。








「………」


ここ、どこだろう。薄暗いオフィスの一室のようにも見えるし、隔離された研究室のようにも思えた。

ガランとだだっ広い空間に点在するデスクやPC、OAチェアの数々。

それらは電源が切られている訳でもなく、スクリーンセーバーらしき映像が断続的に光を放っていて。

なんだか、不気味だった。










それとなく視線を自らの身体におとしてみる。と同時に、私の表情は一気に驚きの色に染まる。


「………なんで……、」






確かに血はたくさん滲んでいる。しかしながらその傷口には、粗雑ではあるものの布らしき何かで止血が施されていて。

おかしい。何がおかしいって、だってこの場所はあの薄気味悪い男の拠点にあたる筈だ。

だとすれば、この場所に私の味方なんて存在するワケが――――











"いっそ殺してくれって言いたくなるくらい"



………嗚呼、なんだ。そういうことか。