「それで、本当ならそれにお父さんが参加する予定だったんだけど……」

「行けなくなった?」

「う、うん」


気まずそうにそう頷きを落とした母は、余程私が参加したくないと思っていることを予想しているらしく。








「―――別に良いよ、そのくらい」

「え……?」





本当にどうでも良かったから。

寧ろあの人と一緒に行かなくて良いなら、それに越したことは無いと思えた。








そんな此方の思惑なんて微塵も気付いてないだろう母は、パァッと綺麗な笑みで口許を飾ると。


「本当!?香弥ちゃんありがとう…っ」

「わ、」







思い切り私に抱き着いてきた彼女は、本当に嬉しそうな表情で。

もしかしたら私が―――私が、今まで反発を抱いていたことから気持ちを違えたとか、そんな風に捉えたのかもしれないと感じた。




本当はそんなことは全然無くて。

相変わらずあの人には消えて欲しいと思っているくらいだし、純粋に喜んでいる母親を前にしてどういう顔をしたら良いのか分からない。









ただ、チクリと胸を刺す痛みと罪悪感ばかりが膨れていった。