そんな小さなことまで嬉しいから、すごく幸せな気分のままで恭ちゃんの家に戻る道を歩き始める。



少し進んだ先で後ろを振り向くと、恭ちゃんはやっぱりまだそこにいて。

わたしを見てくれてるって、思ったのに。





ねぇ、恭ちゃん。
その女の人は、だれ?




振り向いた先にいたのは、恭ちゃんと隣にいる知らない女の人。

スーツ姿のその人は大人で綺麗で、ピンクの口紅がよく似合ってた。


会社の人だよね?
距離ってそんなに近いものなの?

恭ちゃんに限ってそんなわけ――そう思っても、肩を寄せる2人の姿がやけに心に染みついた。



恭ちゃんは、まるで別世界にいるみたいに遠かった。