この子、苦手だ。
この、ぐいぐい来る感じ。

きっと強い光を放つ”女の瞳”だからかもしれない。憶測に過ぎないが。



「あー……」



俺は君が淹れる会社のインスタントコーヒーやなくて、はるが淹れてくれたコーヒーが飲みたいんやけど。

――瞬時に思った言葉をぐっと飲み込む。


そんなこと、目の前で愛想と甘い香水の匂いを振りまくこの子に言えるはずもない。



「…………お願いします」

「はい。すぐ持ってきますね」

「(……はるに会いたい)」



こんな疲れた日には、可愛い笑顔に癒されたい。
あの体温を胸に抱きたい。



「(はよ終わらしたる!)」



今日、仕事が終わったら会いに行こう。
そう思うだけで、なんだか心が少し軽くなる。


「楢原さん、お持ちしました」

「……あぁ、はい。どうも」