「はぁ……! え、はぁ!?」

「なーに美里。修行?」

「ねぇ私の鏡割れてるんだけどっ、不吉!」

「ふぅん」

「聞いてないよね!?」



修行って、馬鹿にしてんのこの女?

思わずギロリと睨み上げるも、そんな行為すらも鼻で笑われた私はどうしようもない。






何の変哲もない女子トイレでのひとコマ。

歴代の手鏡の中では稀に見るほど気に入っていたそれ。かわいそうに、ヒビが入ってあられもない姿になって……。



「丁度いいじゃない。買い替え時だったのよ、きっと」







余りに肩を落とす私を見兼ねたのか、そんな言葉を落とす彼女を薄らと細めた眼で見つめた。


「目つき悪い。やめて」

「………」

「………」

「………」

「警察突きだすわよ」

「なんで…!」







思わず目尻に涙を滲ませた私は彼女の身体を包む制服をむんず、と掴むものの。それは直ぐに振り払われオマケに汚物でも見るような視線を食らった。

幼馴染の彼女は成人し就職しても尚、サイディスティック健在である。