あたしのノートは、分からなかった問題に黄色のマーカーで丸く囲ってある。
先生もそんなあたしのノートを見るのは何十回目なので、慣れたもん。
「いいのかぁー?俺が雑談しなくなるとただの教員だぞ。」
その言葉に思わず笑った。
「じゃあ普段は教員じゃないんですか?」
先生は視線をノートからあたしに写すと、ドヤ顔で言う。
「俺は教員である前に1人の人間だからな。
…ま、学校では先生モードだから変わらねぇか。」
そう1人でぶつくさ言う。
…普段の私生活の先生と、学校での先生、どう違うんだろう。
きっと、仕事とプライベートではなにか違うはず。
「先生モード?」
あたしが呟くと、先生は頷く。
「教員ってのは仕事だし…。
仕事と私生活はわけてんの。」
あっさりそう答える先生に、なぜか心がキュッと縮んだ。
「へぇ。」
あたしはペンを回しながら、解こうともしない問題を見つめる。
「じゃあ、生徒と話すことも、相談に乗ることも、雑談することも仕事?」
限りなく無意識に近い言葉だった。
こんなことを言い放ったあたし自身がびっくりしてるわけで。
先生は首を傾げると、足を組んだ。
「まぁ、教員である時間にやってることは全部仕事かなぁ…
あ、仕事っても、話してる時は普通に楽しいけとどねー。」
…けど、仕事だからっていうののそれ以上でもそれ以下でもないってこと…?
「へぇ。」
あたしの答えに、先生は首を傾げる。
「…ちょ、さっきから自分から聞いてきて何その適当な返事…
あ、ほら!関係ないこと言ってないで、さっさと解きな?」


