「今日は、三角関数についてやっていきます。
最初は覚えること多いから、今日はノート多く書くよー」
”えーー”っていうブーイング。
あたしはその中で、ノートに日付も単元タイトルも書き終わって、準備ばっちりだった。
1年生の1月。
冬休み明け最初の登校日だったのこの日は、ほとんどの人が面倒くさそうに授業を受けてた。
口を開けば、”早く帰りたいー”とか”授業受けたくないー”とか言ってる。
「…舞奈(マナ)ー、なんであんたはそんなに元気なのよ。
わたし、舞奈に元気吸い取られてるわー」
隣の席の沙耶(サヤ)が溜息をつきながら言う。
え……やばい、あたしそんなに表に出てた?
「え、そ、そう?あたしだって早く帰りたいんだけどー」
嘘です。嘘っぱちです。
「ふーん?そこわりにやる気満々じゃん…
あ、そーだ!わたしの代わりにノートとってよ!」
「嫌だよ!ちゃんと自分でとってくださいー」
すると先生が話始め、教室内は静かになった。
ふっふっふ……ようやく冬休みが明けたよ…ようやく授業だよ…
しかも、今年の最初の授業は数学!
やばい!いい年になりそう!!
周りからしてみれば、頭おかしいんじゃないの?って思うことを考えてる奴がひとり。
まぁ、別に数学って教科が特別好きってわけじゃないんだよ…
じゃなくて……
立花先生。数学担当で、うちのクラスの副担任でもある。
先生に会えるから!話せるから!
だから、毎週数学の授業のある日はうきうきしてる。
先生が黒板に書いたことはもちろん、言ったこともちゃんとメモするし。
…まあ、単に勉強を頑張りたいからってのもあるけどね。