「昨日、桜庭くんずっと私の肩に頭乗せてたでしょ? だから、肩痛くて……」

「あぁ……ごめんね」

 今日は私の右側にいる桜庭くんの手が回ってきて、肩を抱くようにして大きな掌で私の左肩を撫でてくれる。

 距離が近い。

 そう思えど、知り合った頃のように突き飛ばして逃げる程嫌だなんてことはもちろんなくて。でも、一応学校で誰も来ないわけじゃないから人目が気になる。昨日みたいに二人っきりならいいのに……と思って、そんなことを思ってしまう自分に頬が熱くなる。

 不意に、私の肩を撫でていた桜庭くんの手に力が入って私を引き寄せた。

 そのまま、桜庭くんの頭が右肩の上に乗ってくる。

「桜庭くん、予鈴……なるよ」

「うん、知ってる」

 そう言いながら、桜庭くんは私の肩から頭をあげようとはしない。

「とわと居ると安心する。好きだよ、とわ」

 友香さんの事を聞いた今、桜庭くんのその言葉は私の胸の奥底に、温かく響いた。