「俺、とわのこと一年の頃から見てたよ」

「え?」

「一年の4月から、とわがずーっと武田のこと目で追ってんの見てた」

「うそ」

「本当。こういうのを一途っていうのかって。珍種見つけた気分だった」

「……珍種って……」

 それ酷い、と私が零すと、桜庭くんは「じゃあ、絶滅危惧種」と笑った。

「たまたま桜庭くんが見てなかっただけだよ」

 桜庭くんは格好良いから、周りに女の子が沢山いたはず。沢山いたら、私みたいなのは……埋もれて、見えないんだ。

「そう? でも、俺は羨ましかったよ。武田の事、物凄く羨ましかった。とわ、黙ってずーっとあいつのことだけ見ててさ。あいつにだけ、笑うんだもん。俺、最初とわの事武田の彼女だと思ってたし」

「そう、なの?」

「だって、俺になんて全く見向きもしなかったじゃん。武田の彼女、とわじゃないって聞いて……正直嬉しかったし。最初、意地悪言ってごめんね。とわ 泣いてんの見たら、ちょっといじめたくなっちゃったからさ」

 どうかと思うんだけど、それ。

「そしたら、俺のこと真っ直ぐ見て、目に涙溜めて言い返して来るから、ますます惚れるよね」